「誰も愛さない―作家として生きる」

19世紀を代表する女性作家、ルイザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』を新進気鋭のグレタ・ガーウィグ監督がモダンに演出した。

女性がアーティスト=表現者として成功をつかむことが難しかった時代に、作家になる夢を持ち続けるまっすぐな女性ジョー(シアーシャ・ローナン)。性別によって決められる人生を乗り越えようと、幼馴染のローリー(ティモシー・シャラメ)からのプロポーズにも応じずひたすら夢を追い続ける――。

女性にとっての結婚、仕事、人生の選択肢、そして「自分らしさとは何か?」という現代のわたしたちにも通ずる普遍的なテーマを瑞々しくとらえる。

物語は、ジョーの視点で、幼少期からではなく成長し大人になった姿から再構成されている。「誰も愛さない―作家として生きる」・・・自分が信じた道を進むため、立ちはだかる障害や心の葛藤をエモーショナルかつ大胆に描いた。

原作には忠実であるものの、時間軸で過去と現在を行き来するという脚本にフランスでは評が分かれているようだ。2時間14分は男性にとってはあまりに長かったかもしれない。

主人公ジョー役を演じたシアーシャ・ローナンは、25歳にして見事な主演ぶりだった。顔の小さいエマ・ワトソンが姉に見えず、まったくもってメグ役はミスキャスト。ジョーの「ソウルメイト」で想いを馳せるも振られてしまうローリー役には、線の細いティモシー・シャラメが中性的なキャラを確立。 

メリル・ストリープがマーチ叔母役。ジョーの人生に影響を与える人物として登場する。

何と言ってもこの映画で最大の見所は、ベテランのローラ・ダーンだろう。いつしかマーチ家の柱であり、愛情豊かな母親というひとりの女性の生き方に寄り添って、この映画をみていた気がした。わたしもそれだけ歳をとったということか。